当院ではPOCTとして、血液ガス分析装置(ABL800 FLEX)とAQT90 FLEXを使用しています。POCTなので三次評価とお話ししましたが、例えばLacではその値により敗血症性ショックを治療するなど三次検査でありながら重症度に関係しており、一次評価につながります。これらPOCTの代表的な項目についてまとめます。
クレアチニン値(Cre値)
Creは腎機能の指標となります。Cre値が高値を示している場合、cTn、NT-proBNPも影響を受けて高値となる可能性が考えられます。
乳酸値(Lac値)
Lacは緊急で使用する重症度判定のマーカーです。この値を定性ではなく定量化する事により緊急度判定、鑑別疾患の絞り込みを含めて非常に意味合いが出てきます。
βhCG
尿妊娠検査反応については、使い勝手の良いものがありますが定性であり、結果がどちらであるか悩む事があります。ここで全血による定量測定の有用性についてお伝えします。
NT-proBNP
心不全の診断マーカーで、重症度・予後判定に相関しています。救急外来ではその目的でも使用できますが、さらに緊急度判定として呼吸困難の患者さまに使用できます。
D-ダイマー
血栓の存在を示唆します。安全に帰宅させられる患者さまかどうかという判断には、造影CTではなくPOCTのD-ダイマーの方が有用です。
- 目次
- POCTについて
-POCTの定義、利点
-救急医療や災害時医療でのPOCT - POCTの文献的考察
-POCTの成果
-救急病棟/CDU(Clinical Decision Unit)
-救急外来
-救急外来+救急病棟/CDU - 当院が目指す救急医療
- 総合救急診療でのPOCT
-クレアチニン値(Cre値)
-乳酸値(Lac値)
-βhCG
-NT-proBNP
-D-ダイマー
-症例1
-症例2
-症例3
-3症例を含めた症例分析
- まとめ-救急外来における診療とPOCTの発展性
元資料:QAジャーナルNo.27(2015年)