白血球は血液中に存在する細胞成分(血球)の1つです1)。主な役割としては免疫であり、外部より侵入してきた外敵(非自己: 細菌、ウィルス等)に対応する細胞性免疫機能を有しています。そのため、感染症では値が変動し、感染症・炎症の指標として用いられます。
白血球は大きく分けると、リンパ球、単球、顆粒球の3種類があり、顆粒球は、さらに好中球、好酸球、好塩基球の3種類に分類されます。そのため、5種類に分類されていることが一般的です。
WBCの生理学的背景
白血球は、骨髄内において造血幹細胞より分化・成熟し、末梢血管に出現します。5分類された白血球それぞれの役割に関しては、以下の通りです。尚、造血器腫瘍(白血病、悪性リンパ腫等)においては、未成熟な細胞が末梢血中に出現します。
リンパ球(Lymphocyte)
リンパ球は、T細胞、B細胞、NK細胞に分けられ、T細胞はさらにサブユニットとして、ヘルパーT、抑制性(サプレッサー)T、細胞傷害性(キラー)Tに分けられます。B細胞は免疫グロブリンを発現し、NK細胞は、非自己を攻撃するキラー細胞です。
単球(Monocyte)
遊走能・貪食能・殺菌能を有しており、血管内から炎症部位に移行し、マクロファージ(大食細胞)化により貪食能はより旺盛となります。
好中球(Neutrophil)
微生物が侵入すると、第一に活動を始めるのが好中球です。好中球は遊走能により血管内より微生物や炎症の発現場所に移動し、微生物を捕食し貪食します。貪食された微生物は殺菌能により処理されます。
好酸球(Eosinophil)
好中球のように貪食作用は強くありませんが、アレルギー疾患と寄生虫疾患で増加します。
好塩基球(Basophil)
アレルギーに関与し、I型アレルギー(アナフィラキシー)を発症します。
WBCの参考値2)
共用基準範囲: | 3,300~8,600/μL |
パニック値: | 低値 1,500/μL |
高値 20,000/μL | |
芽球の出現 |
参考文献:
1. 矢富裕、通山薫、標準臨床検査学 血液学検査; 1-26, 2012
2. 日本における主要な臨床検査の共用基準範囲-解説と利用の手引き-; 日本臨床検査標準協議会、基準範囲共用化委員会; 2019
3. 日本臨床検査医学会ガイドライン作成委員会; 臨床検査のガイドライン JSLM2018検査値アプローチ/症候/疾患; 463-464, 2018