セルロース膜上を被検体が試薬を溶解しながらゆっくりと流れる性質(毛細管現象)を応用した免疫測定法である。検体中の抗原は検体滴下部にあらかじめ準備された金属コロイド等で標識された抗体(標識抗体)と免疫複合体を形成しながらセルロース膜状を移動し、セルロース膜状上にあらかじめ用意されたキャプチャー抗体上に免疫複合体がトラップされ程色し、それを目視により判定する。妊娠診断、インフルエンザ等で応用されている。
測定法の解説 図3参照
(1)キット上に検体を滴下する
(2)一定時間放置する
(3)目視による定性判定する(コントロールラインを必ず確認する)
図3 イムノクロマト法の原理
メリット
- 目視判定による定性判定が可能な項目がある
- 装置を必要としない(一部読み取り装置有り)
- 簡便である
- キットの保管方法が簡便(多くは室温保存)
- 必要な検体数だけ取り出して実施できるため無駄が無い
デメリット
- 目視による判定のため、個人による判定誤差が見られる
- 定量試験向きではない
- 測定時間を厳守しないと、陰性、陽性の判定が異なることがある
- ロット間差、試薬間差が存在する
目次
監修:柴田宏(元島根大学医学部附属病院 検査部 臨床検査技師長)
発行:2010年