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ボーア:酸素解離曲線のS字型と二酸化炭素依存性発見Bohr

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Bohr, Christian(1855-1911) デンマークの生理学者。コペンハーゲン大学教授。ウィーンで、ルードヴィッヒに学ぶ。「ボーアの死腔の式」、「ボーア効果」、「ボーア積分」と、名前のついた業績が三つある稀有な例だが、重要性が断然高いのは、1904年の「ボーア効果」だろう。この論文は、酸素解離曲線が双曲線でなくてS字型をしていることを示した最初の論文で、しかもそれが二酸化炭素レベルで大きく移動することも証明した。ヘモグロビンと酸素の結合が二酸化炭素に依存することは当時知られておらず、それまでの酸素解離曲線は極端に左方に寄ったものと考えられていて、高空でなぜハイポキシアになるのか、重大な疑問だった。ボーアはこれを解決した。

ルードヴィッヒに学んだ故に、「酸素の分泌説」にとらわれているようで、有名な「死腔の論文」も内容は分泌論を主張したもの。こちらは、弟子のクローが打破した。

ボーア自身はノーベル賞を受けていないが、弟子のクロー(もちろん医学生理学賞)と息子のニルス(1922:ボーアの原子模型:物理学賞)、孫のアーゲ(1975)はいずれもノーベル賞受賞者である。From: Astrup P, Severinghaus JW. History of Blood Gases, Acid and Bases. Munksgaard, Copenhagen. 1986.

  • 参考: ドイツ語の文献

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