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ボーア効果の図:酸素解離曲線の二酸化炭素依存性

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1903年に発表されたボーア効果の図:実線はイヌの血液による研究の主部分。

数値はPco2を表し、Pco2上昇による酸素解離曲線の右方移動を示している。

”Pferdeblut” となっているのは、以前ウマの血液で行ったデータを比較のために加えて描記したもの。

酸素解離曲線解析の初期になぜこれほど重要な所見(「曲線の位置が二酸化炭素に依存する事実」)の研究を着想したのか、筆者(諏訪邦夫)には理解できなかったが、アストラップ氏は次のように解釈している。

19世紀後半、気球の実験や低圧の実験から「低圧でチアノーゼが起る」事実は確定していた。

一方、インビトロで調べた酸素解離曲線は常に極端に左方移動していた。二酸化炭素依存性を知らなかったからである。

この二つの事実は互いに矛盾していて、生理学者を悩ませていた。その探求として、ボーアは二酸化炭素やpHの依存性を調査したものであろう。因みに、ボーアの原論文にはそうした研究の背景や誘因は考察されていない。

図は原論文より。

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