イプセン(イブセン)Ibsen B. (1916-):最初のICU設立者と目される人。また、デンマークでは最初に陽圧式人工呼吸をポリオに導入した。
1950年代初頭のコペンハーゲンにおけるポリオの流行をきっかけに、「人工呼吸の対象の患者を一箇所に集合させて、一括管理する」という施設をRigshospital に設立運営した。これがその後のICUの基本となった。
当時は、そもそも人工呼吸自体に対する疑念も強く、「できるだけ自発呼吸で管理する」、「人工呼吸をするなら、鉄の肺タイプの胸郭を外から広げる方法で(陽圧で押し込むのではなく)」という考え方が強かった。しかし、敢然として陽圧型人工呼吸に踏み切って成果を挙げた。ただし、この点自体は米英に先駆がある。
学問的には、ポリオ患者の血液分析で二酸化炭素含量が高いのをみて、多くの人が「代謝性アルカロ-シス」と考えたのに対して(当時はPco2の測定は不可能だった)、アストラップと協力して「低換気による」ことを証明して、人工呼吸への道を開いたとされる。