わたしたちは急性期医療に携わる医療従事者に役立つ学術情報を提供します

コペンハーゲンのポリオ

copen.jpg

1952-1953年、デンマークはコペンハーゲン市を中心にポリオが蔓延した。1952年8月から10月、入院患者は毎週100人を超え、最高は300人を超えた。アメリカやイギリスでの報告はすでにあったが、このときにIbsen を中心とするデンマークの医師たちは、気管切開+陽圧式人工呼吸(機械はほとんどなかったので、人力による手押しに頼った)に踏み切り、さらに現代のICUにあたる組織を作り上げた。これが、陽圧式人工呼吸とICUが普及する大きなきっかけとなった。

また、この際にアストラップを中心とする研究者が、この面の研究を進めて、「呼吸管理の生化学」の進歩にも寄与した。

この写真は、いろいろな書籍にも引用されている有名なものだが、「手押しの人工呼吸」を示すだけでなくて、バッグと気管切開管の間に二酸化炭素の吸収装置が介在している。1920年代にアメリカでウォータース(Ralph Waters )が開発した初期のタイプの二酸化炭素吸収装置で、現在の循環式の呼吸回路ができる以前に、麻酔にも使用されたものである。二酸化炭素吸収装置を使用することによって、吸入ガス(本例では空気を使っていたのか酸素を使っていたのか不明であるが)を節約できる。

この写真は、 Astrup P, Severinghaus JW. History of Blood Gases, Acid and Bases. Munksgaard, Copenhagen. 1986. から引用。

このウェブサイトではクッキーを使用しています

クッキーの使用について