クロライド(塩素:Cl-)は細胞外液に多く存在する陰イオンであり、血液中で最も重要な陰イオンの一つです。Cl-の主要な役割は、浸透圧、体液平衡、筋活動、血漿中のイオン中性度の保持で、酸塩基平衡障害の原因を知る一助となります。
Cl-基準範囲(成人)-例: 98~107 mmol/Lクロライドの分布と生理学的意義
ナトリウム(Na+)と同様に、生体内に存在する約 3200 mmol(113 g)の Cl-のほとんどは細胞外液に含まれています。細胞外液中(血漿)の濃度は約 100 mmol/Lである一方、細胞内液中濃度は約2~5 mmol/L です。Na+の次に多い細胞外液イオンであり、最も多い細胞外液陰イオンであるCl-は正常な血漿浸透圧の維持に必須であり、300 mOsmol(ミリオスモル)の細胞外液張力のうち、100 に寄与しています。
詳細についてはAcute care testingハンドブックを参照してください。
クロライドはなぜ測定するのか?
クロライド濃度(cCl-)の測定は、酸塩基平衡障害の原因の精査において臨床的有用性があります。Cl-レベルの異常だけで、代謝性アシドーシスやアルカローシスといった、かなり深刻な代謝異常の存在を示唆します。また、cCl-は酸塩基平衡障害の検査に有用なアニオンギャップ(AG)の計算要素の一つです(AGを参照)。
詳細についてはAcute care testingハンドブックを参照してください。
クロライドバランス
Acute care testing ハンドブック を参照してください。
クロライドの解釈に使用される用語
cCl-の低下(< 98 mmol/L)を低クロール血症と呼び、 cCl-の上昇(>107 mmol/L)を高クロール血症と呼びます。
低クロール血症と高クロール血症の原因
cCl-は健常か否かに関わらず、ほとんど常にcNa+とパラレルであるため、低クロール血症の原因は低ナトリウム血症(Na+を参照)の原因と同じであり、高クロール血症の原因は高ナトリウム血症(Na+を参照)の原因と同じです。
cCl-測定に臨床的意義があるのは、酸塩基平衡障害でcCl-がcNa+と同一でない場合です。
酸塩基平衡障害の解明におけるクロライドの価値
Acute care testingハンドブックを参照してください。
クロライド異常が関係する酸塩基平衡障害
Acute care testingハンドブックを参照してください。