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Lactate

ラクテート

ラクテートは、乳酸の解離で生じる陰イオンであり、グルコースの細胞内代謝産物です。嫌気的なエネルギー産生(解糖)時に、骨格筋細胞、赤血球、脳や他の組織で産生されます。ラクテートは細胞内液でピルビン酸から生成され、乳酸脱水素酵素(LDH)がその生成反応を触媒します。

ラクテート基準範囲(成人)-例: 0.56~1.39 mmol/L(5~12 mg/dL)

ラクテートの生理学的意義

グルコースからピルビン酸への変換では、解糖系と呼ばれる13の酵素反応が連続して起こります。十分に酸素化された、ミトコンドリアを含む組織細胞では、ピルビン酸はミトコンドリア中に入り、クエン酸回路、酸化的リン酸化を通して、二酸化炭素(CO2)、水、そして体の主要なエネルギー供給体であるアデノシン三リン酸(ATP)に代謝されます。細胞の酸素レベルが低下したり、ミトコンドリアが適切に機能しなくなると、生体では常に効率の低い嫌気的解糖を頼みにグルコースを代謝して、ATP を産生します。このプロセスの主要な副産物がラクテートで、これは、肝臓でラクテートが分解されるよりも速く蓄積していきます。

詳細についてはAcute care testingハンドブックを参照してください。

ラクテートはなぜ測定するのか?

ラクテートレベルは、組織の酸素需要と酸素供給間の不均衡を早期に示唆する高感度の指標であり、以下の目的で使用されます。

  • 患者転帰の予後指標
  • 循環性ショック患者における細胞灌流低下のマーカー
  • ショック後の適切な蘇生の指標
  • 蘇生治療モニタリングのマーカー

ラクテート検査がどの程度臨床的に有用であるかは、臨床背景によって異なります。ラクテート測定は、重症患者に対する治療効果のモニターに特に有用です。その母集団におけるラクテートレベルの上昇は罹病率や死亡率と密接な関係があります。

ラクテートはいつ測定すべきか?

組織酸素化レベルの低下または酸塩基不均衡の可能性を示唆する頻呼吸や吐き気、低血圧、循環血液量減少、発汗といった兆候や症状がみられる場合、および遺伝性の代謝疾患またはミトコンドリア障害の疑いがある場合に測定します。

臨床的解釈

ラクテート濃度が3~4 mmol/L(27~36 mg/dL)を超えると、アシドーシス(酸塩基状態と AG を参照)を発症する危険性が高くなります。高乳酸塩血症がみられるアシドーシスは乳酸アシドーシスと呼ばれる、酸塩基平衡が破綻した状態です。乳酸アシドーシスは入院患者の~1%に発生し、死亡率は、特に低体温症を伴う場合は60%を超えることがあります乳酸アシドーシスは筋虚弱、呼吸促迫、吐き気、嘔吐、発汗、昏睡といった症状を起こします。

高乳酸血症および乳酸アシドーシスについてはAcute care testingハンドブックを参照してください。

L-ラクテートと D-ラクテート

 Acute care testingハンドブックを参照してください。

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