ナトリウム(Na+)は細胞外液中の主要な陽イオンで、細胞外液中の濃度(~140 mmol/L)は、細胞内液(~10 mmol/L)よりも14倍高くなっています。Na+は細胞外液の浸透圧に大きく寄与し、水分バランスの制御と調整、血圧維持の機能を果たしています。また、Na+は神経興奮(インパルス)の伝達や筋収縮活動の機序においても重要です。
Na+基準範囲(成人)-例: 136~145 mmol/L
ナトリウムの分布と生理学的意義
体内には約 4000 mmol(92 g)のNa+が存在し、その内約30%は骨成分に複合体として分布しています。残りはほとんどすべて細胞外液に存在しています。細胞外液中で最も多いNa+は、細胞外液の浸透圧の主要な規定因子であり、細胞内・細胞外間の水分分配の主要規定因子でもあります。
詳細についてはAcute care testingハンドブックを参照してください。
ナトリウムはなぜ測定するのか?
ナトリウムと水の代謝が障害され、cNa+異常(血中ナトリウム異常)は、比較的様々な急性・慢性疾患でよくみられます。また、一般処方薬の副作用も知られています。入院患者ではcNa+の低下(低ナトリウム血症)している患者の割合は 15~20%ともされています。cNa+の上昇(高ナトリウム血症)の頻度はあまり高くなく、入院患者での割合は 1~2%程度です。
詳細についてはAcute care testingハンドブックを参照してください。
ナトリウムバランス
Acute care testingハンドブックを参照してください。
ナトリウムの解釈に使用される用語
Acute care testingハンドブックを参照してください。
低ナトリウム血症の原因
- 心不全
- 肝硬変
- 高血糖症-糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)
- 急性腎疾患
- 慢性腎疾患
- 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(一般処方薬による副作用や、一定の悪性腫瘍に特徴的な合併症などを原因として)
- 慢性的な嘔吐・下痢
- アジソン病(副腎機能不全)
- 利尿薬の投与
- 補液療法
低ナトリウム血症の症状
Acute care testingハンドブックを参照してください。
高ナトリウム血症の原因
- 慢性腎疾患
- 不適切な水分摂取(主に高齢者)
- 意識喪失による口渇反応不良、頭部外傷
- コン症候群・疾患
- クッシング症候群・病
- 尿崩症
- 過剰なナトリウム補充療法
- リチウム療法
高ナトリウム血症の症状
Acute care testingハンドブックを参照してください。
偽性低・高ナトリウム血症に関する注記
Acute care testingハンドブックを参照してください。