グルコースは人の代謝系において最も大量に存在する炭水化物であり、細胞内の主要なエネルギー源(ラクテートを参照)としての役割を果たします。グルコースは主に食物由来の炭水化物から得られますが、(主に肝臓と腎臓により)糖新生の同化作用を通して、また、グリコーゲン分解からも産生されます。この内生的に産生されるグルコースは、食間、絶食中など、食物由来のグルコースが得られない場合に、血中グルコース濃度を正常な範囲内に維持するのに寄与します。
グルコース基準範囲(成人)-例: 3.6~5.3 mmol/L(65~95 mg/dL)グルコースの生理学的意義と血中グルコースの調整
人体は細胞内でのみグルコースを利用することができます。細胞内ではグルコースが主要なエネルギーの供給源です。生体内の各細胞では、解糖系とクエン酸回路という二つの連続した代謝経路で、グルコースが酸化され二酸化炭素と水に分解さることによりエネルギーが放出されます。
詳細についてはAcute care testingハンドブックを参照してください。
血中グルコースはなぜ測定するのか?
循環血液中のグルコース濃度を測定する主要な理由は糖尿病の診断とモニターです。糖尿病は、膵臓ホルモンであるインスリンの絶対的または相対的欠乏に起因する血中グルコース濃度の上昇(高血糖症)で特徴付けられる、非常に一般的な慢性の代謝性疾患です。
詳細についてはAcute care testingハンドブックを参照してください。
グルコースはいつ測定すべきか?
低血糖の兆候や症状、糖尿病(高血糖)の疑いや重症患者でストレスによる高血糖がみられる場合に適宜測定するべきです。
高血糖の原因
- 外傷
- 脳卒中・心筋梗塞
- 外科手術
- 糖尿病
- 急性膵炎
- 内分泌機能亢進
- ヘモクロマトーシス
- グルコース耐性の低下
- 薬物
原因および症状の詳細、高血糖と糖尿病・重症患者についてはAcute care testingハンドブックを参照してください。
低血糖の原因
- 糖尿病治療(最も多い原因)
- インスリノーマ、肝臓病
- 胃切除後
- インスリン誤用
原因および症状の詳細、低血糖症と新生児、その原因についてはAcute care testingハンドブックを参照してください。