アクチュアル（cHCO3-(P)）とスタンダード（cHCO3-((P,st)）
バイカーボネート（HCO3-）は血液の緩衝能の指標です。血漿pHは二酸化炭素分圧（pCO2）に対するHCO3-濃度の比によって決まります。重炭酸・炭酸緩衝系の目的は、過剰酸または過剰塩基を「中和」し、血漿 pH を限度内に維持することです。HCO3-は酸塩基バランスの代謝性因子（非呼吸性）と呼ばれます。HCO3-は、塩化物の次に血漿に多く含まれる陰イオンであるため、血漿の電気化学的中性の維持に重要です。
血漿中のHCO3-濃度は、Henderson-Hasselbalchの式を用いて、pCO2とpHの測定値から計算することができます。したがって、以下のように表すことができます。
HCO3-の基準範囲（成人）例：
男性：22.2～28.3 mmol/L
女性：21.2～27.0 mmol/L
HCO3-の生理学的意義
CO2は細胞代謝により継続的に産生され、呼気として体外に排出されます。約70～80 %のCO2は血漿中にあり、組織から肺へHCO3-として運搬されます。CO2は、その分圧の勾配により、それが産生される組織細胞から間質液へと拡散し、その後、組織微小血管系の血漿へと運ばれます。少量（最大で5%）は血漿中に溶解しますが、ほとんど（～90%）は血漿から赤血球へと拡散しています。ここで、少量（2～5%）が脱酸素化ヘモグロビンと結合してカルバミノヘモグロビンを形成しますが、大部分はHCO3-に変換されます。
詳細についてはAcute care testingハンドブックを参照してください。
HCO3-はなぜ測定するのか?
HCO3-の測定- pHとpCO2の測定と共に、酸塩基平衡障害の診断とモニターに必須です。HCO3-は、酸塩基状態に対する「非呼吸性」つまり「代謝性」の因子の影響を反映します。
- アニオンギャップ（AGを参照）の計算の要素で、主に代謝性アシドーシスなどの評価において有用なツールとなるパラメーターです。
HCO3-（pHとpCO2）はいつ測定すべきか?
HCO3-（pHとpCO2とともに）は酸塩基平衡障害の診断とモニターに用いられます。
様々な臓器系が適切に機能するための必須条件である酸塩基恒常性は非常に複雑であるため、pHとpCO2、HCO3-の測定は、重篤な急性疾患だけでなく、重度外傷の評価においても非常に重要です。救命救急診療・集中治療環境においては、HCO3-は通常測定されます。
臨床的解釈
Acute care testingハンドブックを参照してください。